
書いた話だと思ったんですが、なかったので改めて…
かつて満州国を走っていた満鉄(南満州鉄道)のスター特急であるあじあ号では、「あじあ(アジヤ)カクテル」という酒が提供されていました。

あじあカクテルは、赤色の「スカーレット」と、緑色の「グリーン」の二種で、一杯50銭。
1900年を基準とした、1938年の消費者物価指数が2.5(2015年が3954)なので、現在の価格に換算すると790円程度となります。
レシピ
平成に入り、当時のカクテルを再現しようと試みられた札幌のバーテンダーさんがいらっしゃり、当時の時代背景から導き出したカクテルのレシピは、以下のようなものだったと推測しています。
スカーレット…ベースはコニャックブランデーかウォッカ。赤色を出すにはスロージン、もしくはチェリーブランデーのどちらか。レモンピールを仕上げに加える。
グリーン…この時代で緑色を出せるのは「ペパーミント」以外にない。それに合わせるならジンかウォッカ。
最近になって読めるようになった当時の文献には、以下のような記載がありました。
ウオツカを臺にしてあるといふカクテル「アジヤ」の櫻色の魅力、香り、味覚の何と嬉しいことよ!
出典:『協和 : 満鐵社員會機關誌』13(19)(250),満鐵社員會,1939-10
ロシアに近いハルピンまで運行されるということもあるからか、ウォッカをベースとしたカクテルだったようです。
いやはや、先ほどの方はお見事でした…。この文献をもとにすると、レシピは
スカーレット…ベースにウォッカ。赤色を出すにはスロージン、もしくはチェリーブランデーのどちらか。レモンピールを仕上げに加える。
グリーン…ベースにウォッカ。そこに緑色を出す「ペパーミント」
ということになりますね。
ちなみに、現代でもこの”あじあカクテル”を提供している「バー銀座パノラマ」という店舗が、東京にあります。
王道楽土の「あじあ号」

大連~奉天~新京を走る特急「あじあ」号は、所要時間が8時間半。長旅で退屈していた旅客をもてなすカクテルでした。
色白のロシア娘がサービスしてくれるこのカクテルは、異文化情緒を感じさせてくれるものだった…と何かと回想で出てくるあたり、よほど当時の日本人の印象に残ったのでしょうねぇ。
関連リンク
参考文献
林青梧『満鉄特急あじあ物語 : 栄光の蒸気機関車』,講談社,1977.10.
札幌学院大学鉄道研究会『満鉄あじあ号のカクテルは大人の味?』
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