企業における「中興の祖」「ターンアラウンド」を実現した人物まとめ

ターンアラウンドとは、経営難に陥った企業の事業再生、経営改革を意味するビジネスワードです。

一方中興の祖とは、長期的スパンで見た時に危機的状況から回復させたり、小規模だった事業を大きく拡大させた功労者に対しての言葉です。

どちらも近しい言葉ですが、ターンアラウンドはより短い時期を示す用語でしょうか。企業にとって厳しい時期を乗り切り、次へバトンタッチするのがターンアラウンド、乗り切って自分の舵取りで危機前よりも拡大させるのが中興の祖…といった趣きです。

ここではそれらを実現した人物を軽く取り上げます。

 

Apple:スティーブ・ジョブズ

創業者にして中興の祖。

創業者であるにも関わらず、1985年にジョン・スカリーCEOの判断で解任され、1996年まで11年間Appleとは無関係の存在に。しかしその間のAppleは製品を送り出すことが出来ず、経営が傾く。

Appleからはじき出されていた間、ジョブズはNeXTという新しいOSを開発。このOSを採用するにあたってAppleがNeXTを買収するということで復帰。

復帰後はiMax、iPod、そして大躍進のきっかけとなったiPhoneなど、PCだけに囚われない様々な新しいテクノロジーを開発。

Appleを時価総額世界一の企業へと押し上げた。

 

任天堂:山内溥

任天堂の中興の祖。

22歳で祖父からの花札・トランプ事業を継承。

電子ゲームに活路を見い出し、ゲーム&ウオッチを皮切りにファミコンが大ヒットを記録。京都の町工場だった任天堂を世界的企業へと育て上げた。

ネットではその容貌や歯に衣着せぬ物言いから「組長」として有名。

 

スズキ:鈴木修

中興の祖。

スズキは元々トヨタ自動車と同じく、鈴木式織機製作所という織機製造のメーカーだったが、織機市場の飽和が予見されたことから、同じ精密機器である自動車製造に乗り出し、スズライトやフロンテなどを送り出す。

鈴木修は元々は愛知銀行に入行していたものの、1958年に鈴木自動車工業 鈴木俊三社長の娘婿として招聘。

1978年の社長就任後、アルトをヒットさせて経営を立て直す。1993年にはワゴンR、2014年にはハスラーを発売し、軽自動車メーカーのトップとして盤石な体制を築き上げる。

また、会長時代の2006年にはスイフトを世界的にヒットさせ、軽自動車のみならず小型車メーカーとしても名を馳せる。

インドでマルチ・スズキ・インディアを立ち上げ、現在では営業収益の40%を稼ぐ部門となる。

また無理な拡大を行わず、実質的に無借金経営を続けている。

 

 

シャープ:佐伯旭・佐々木正

中興の祖。

1931年、佐伯旭が早川金属工業研究所(現在のシャープ)へ入社。戦後混乱期における業績悪化では倒産寸前までいったシャープを労組との交渉などで救う。

その後は町工場程度の小さな規模だったシャープを、創業者である早川徳次氏から経営を任され、年商1兆円を超える、世界に名だたる企業へと育て上げた。

 

一方佐々木正は、1964年に早川電機工業(現在のシャープ)の佐伯専務から招聘を受けて、事業部長として入社。

前身となる1961年に神戸工業取締役として電子レンジの部品を開発していたことがあり、その製造を早川電機工業に任せたことが招聘の一因となりました。

早川電機工業入社後は、元々培っていたLSIや半導体・液晶など電子部品の研究者としての技術を活かし、電卓・液晶・太陽電池などで、早川電機工業(シャープ)の躍進に大きく貢献。

 

 

 

ソニー:平井一夫

ソニーのターンアラウンドを担当した人物。

平井氏がソニーCEOに就任したのは2012年。

ソニー創業者である世界的に有名な盛田昭夫と井深大という2巨塔が去って以来、ソニーの経営はゆっくりと傾きはじめていたが、2012年時点ではテレビ事業が8年連続の赤字、プレステ3が売れないなど相当に厳しい状態であった。

平井は、方向性を見失い迷走していたソニーのソニーらしさをを取り戻すべく、原点に立ち返りKANDOを定義。顧客が感動するような製品づくりに舵を切る。

プレステ3は久夛良木時代にはマルチメディア機を標榜としていたが、平井体制以後は「ゲーム機である」と原点に立ち返り再定義。

そこからPS2との下位互換取り払いやエンブレムの印刷化などコスト削減を実施し、2代目プレステ3を発売。逆ざや状態だったPS3を黒字化した。

平井氏が採った手法は共通している。黒字化のために必要な部分に戦略を絞り、社内外へのメッセージをシンプルなものにし、企業としての体質改善が成功したのちに反転攻勢に出る、というものだ。正攻法ではあるが、その実現を徹底したことが大きかったのだろう。

出典:https://av.watch.impress.co.jp/docs/series/rt/1104763.html

 

また流通にもメスを入れ、サムスンが先行していた「ショップインショップ」を実現する。

ショップインショップとは

店舗内区画にメーカー専用のブースを作ること。他メーカーとの差別化ができるメリットがある。
紙器やレイアウトなどメーカー側が演出できることで、商品の価値を上げる販売方法。

例えばケーブルが乱雑に放置されていると見栄えが悪くなるが、通常メーカー側がそれに口出しはできない(販売店側の裁量)
ショップインショップではより多くの手数料を支払うことで、そういった細かい点にまで口出しが可能となる。

 

テレビ事業の黒字化はもとより、後継機であるPS4の成功、モバイル事業の黒字化などして事業を軌道に乗せ、2018年に後継の吉田憲一郎氏へバトンタッチした。

6年間の社長任期であった。

 

日産自動車:カルロス・ゴーン

ターンアラウンド。

1999年、ルノーとの資本提携で入社。

入社当時は2兆円の有利子負債を抱えており、そこから打開するために徹底した合理化を推進。

具体的には

・生産拠点の閉鎖
・リストラ
・ルノーとのプラットフォームやエンジン等の共通化
・子会社の統廃合
・村山工場の閉鎖

など撤退戦を行いつつ、

・新車の投入
・デザインやブランドイメージの刷新

などを図った結果、2003年に社債発行により全額返済。2005年には業績を回復させました。

ただ、その後が今ひとつ続かず、2019年には有価証券報告書へ自身の役員報酬を50億円過小記載したことなどで逮捕されてしまいました。

 

 

 

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