日本マクドナルドを創業した、藤田田(ふじた・でん)氏。
日本を代表する偉大な経営者の一人です。
大阪出身の彼はマクドナルドを持ってくる際、アメリカ本社から現地名に倣って『名前を「マクダーナルズ」にしろ』と命じられます。
しかし藤田氏は
「絶対に日本では『マクド・ナルド』だ。日本人に合うのは3・3の音である」
と譲らなかったそうです。
そのおかげ(?)で、日本のマクドナルドはアメリカを除いた国では最も店舗数が多い国となりました、
この話は比較的多く流布しているので有名だとは思いますが、そもそも何故「マクドナルド」という名前が日本人に合うと確信して導き出したのか?については、あまり触れられていない話題です。
何故「マクド・ナルド」の3・3音が美しいとわかったのか?
以前から個人的に気になっていたこの話を、今日は追いかけてみようと思います。
いきなり頭抱
この話は、調べるにあたってかなり頭を抱えました。
まずそもそも「なんと調べればいいのかわからない」んです。
日本語の「語感」や「キャッチコピー」などのワードも参照しましたが、今ひとつニュアンスが異なる。
・語感から辿ると「語呂が良い」になり
・キャッチコピーから辿ると「どんなワード同士を引っ付ければセンスが良いか」
というところへ帰結するので、求めているものとはちょっと違います…。
歴史では…?
藤田氏はずっと日本語を研究していて、もし大学に入るなら日本語学科を受けたいとまで言っておられたそうです。
そこで気づいたのが、日本人が紡いできた「歴史」です。
名称もアメリカでは「マクダーナルズ」と発音しているのですが、日本語は大体三音、五音、七音、九音ぐらいの言葉ですから、三音ずつの「マクドナルド」と、変えました。
出典:経済団体連合会「Keidanren 48」、2000年7月
5音・7音といえば、短歌…すなわち七五調・五七調が見えてきます。
日本人が受け継いできたもの
1.七五調、五七調
七五調や五七調は、日本人が和歌の時代から受け継いできたもの。すなわち1000年の歴史を持つ音のリズムなんです。
百人一首を学んだ方も多いと思いますが、あれも五七調が基本となっています。
・足曳きの 山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜をひとりかも寝む
・ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは
この他、近代~近世に至っても、七五調を駆使した以下のような使用例も多数見られます。
・いろはにほへと ちりぬるを(いろは歌)
・汽笛一声 新橋を(鉄道唱歌)
・六甲おろしに 颯爽と(阪神タイガースの歌)・本を売るなら ブックオフ(ブックオフ)
・ヤマザキ春の パンまつり(ヤマザキ)
・セブンイレブン いい気分(セブン&アイ)
・三井住友 VISAカード・墾田永年私財法
・瞬間最高視聴率
・中華人民共和国・長堀鶴見 緑地線
・ブンブンハローYouTube
「なんとなく収まりがいいな」と思った時、多分そこにあるのは七五調か五七調のどちらかなんです。
2.三音の構成要素
また五・七音よりも、更に短い三音が親しまれた理由については
・日本語の単語の基本は2音節のものが多い(山・海など)
・それらを「に」や「を」など1音節の接続詞で繋ぐ
・五音、七音を形成するにあたって必要になる要素
ことが挙げられます。
すなわち、単語の二音と接続詞の一音で1つの要素が出来上がることが多い日本語では、自然と三音が親しみやすいとされる言語となっていったようです。
以上のことから、藤田氏はこれら日本語の歴史を振り返って採り入れ、日本人に最適な「マクド・ナルド」を編み出していったものと思われます。
韻も踏んでる
また、マクドナルドは韻にも注目。
マクドナルドは母音に直すと「あうお・あうお」と同じ音が2度繰り返されます。
つまり、「マクドナルド」というワードは、
・日本人の耳に聞き慣れる心地よい3・3音で形成され
・韻も踏んでいる
という、歴史を踏まえた極めて絶妙なネーミングセンスによって付けられたものなんです。
「銀座のユダヤ人」を自称していた藤田田氏は、実は日本語のスペシャリストでもあったんですね。
関連リンク
参考文献
- exciteニュース「差別には金で立ち向かえ!藤田田がユダヤ人に惚れ込んだ理由」
コメントを残す