Tiktokを見ていると、Adoの曲が流れてきてびっくり。
実は、2024年2月にTiktokとユニバーサルとの間で話がこじれ、ユニバーサルに所属する「Ado」「藤井風」「Perfume」「Mrs. GREEN APPLE」など有名アーティストの曲が使用できなくなっていました。
しかしながら、2024年5月に両者は新しい契約を結び、晴れて再び使用できるようになったみたいです!
時系列
2月…「威圧的だ」と交渉決裂
2024年2月2日…これまで交わしていたライセンス契約が決裂。ユニバーサル・ミュージックからは
契約更新の交渉過程を通じて、UMGは以下3つの重要な課題:
・アーティストとソングライターへの適切な報酬
・AIの有害な影響からの人間のアーティストを守ること
・TikTokユーザーのオンライン上の安全性に対処するようTikTokに提案してまいりましたが、TikTokはこれに無関心、或いは威圧的な態度で応じました。
UMGはこうしたTikTokの姿勢が引き起こす問題を、これ以上看過するわけにはいかないと考えています(中略)現在、アーティストやソングライターにTikTokから支払われる報酬がいかに少ないかを示すものとして、TikTokの膨大なユーザー数や広告収入の急増、音楽を活用したコンテンツへの依存度が高まっているにもかかわらず、私たちの総収入のわずか1%程度に過ぎないのです。
つまり、TikTokは音楽に正当な対価を支払うことなく、音楽をベースにしたビジネスを構築しようとしているのです(中略)
さらにプラットフォーム上の私たちのアーティストの音楽を侵害する膨大な量のコンテンツに対処する努力をほとんどしておらず、押し寄せるヘイトスピーチ、偏見、いじめ、嫌がらせのみならず、コンテンツに関連する問題に対しても意味のある解決策を提示していません。権利侵害や問題のあるコンテンツ(アーティストのポルノ的なディープフェイクなど)の削除を求めるために利用できる唯一の手段は、デジタル版の「モグラたたき」のような極めて煩雑で非効率的なプロセスのみなのです。
私たちがTikTokに他のプラットフォーム・パートナーと同様の手順でこれらの問題に対処するよう提案したところ、TikTokはまず無関心でそして次に威圧的な態度で応じました。
出典:ユニバーサル・ミュージック・ジャパン(2)
との声明が出されていました。
「威圧的な態度で応じていた」というワードが繰り返されているあたり、かなりの不義理を働きUMG側も怒っていることを痛感します。
これは日本法人だけでなく、本拠とする米国でも同じような声明が出されています。
5月…再契約
その3ヶ月後、両者は和解し再びこんな声明が出されました。
ユニバーサル ミュージック グループ(以下、UMG)とTikTokはUMGのアーティスト、ソングライター、レーベルに業界をリードする大きな利益をもたらす新たな多角的ライセンス契約を発表しました。この契約により、TikTokの10億人を超えるグローバル・コミュニティにUMGの楽曲が戻ることになります(中略)
今回の合意の一環として、両社はTikTokのeコマース機能を活用し新たな収益化の機会を実現するために協力します。UMGのアーティストを支援するキャンペーンをジャンルや地域を超えてグローバルに展開します。
TikTokは、UMGのアーティストが成長中のプラットフォームでそれぞれの力を発揮できるようアーティストを中心においたツールの構築への投資を継続します。
「Add to Music App(音楽アプリへの追加)」機能やデータ・分析の強化、チケット販売機能などのツールは、TikTokのコミュニティでのグローバルなファンベースの構築に加え、金銭的にもアーティストに利益をもたらします。同時にアーティストとそのファンのためのオンライン安全策も強化されます。
あれほど「威圧的」と繰り返されていたTikTokが急にしおらしくなったのが解せませんが、この背景には米国やフランスで高まる「Tiktok禁止論」を懐柔する政治的な動きも重なっているのかもしれません。
関連リンク
参考文献
- ユニバーサル・ミュージック・ジャパン「TikTokとの契約に関するお知らせ」
- ユニバーサル・ミュージック・ジャパン「ユニバーサル ミュージック グループ、TikTokとの新たなライセンス契約を発表」
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