
大阪・恵美須町にあった伝説の貸しレイアウト店、「ジオラマ103」
当サイトでも何度か取り上げ、高クオリティなジオラマ、良アクセス環境、垢抜けたおしゃれなお店、人当たりの良い店長のひらおかさん…と、他のお店と比較しても頭一つ抜けてる印象でした。
それだけに、「あのひらおかさんレベルまで考えてもうまくいかないのか…!」と当時非常に驚いたことを思い出します。
何故閉店したのか…を店長さん自らが語られていたので、ここにまとめました。
概要
・クラウドファンディングで新規開店費用に193万円を集める
・2018年、堺筋線恵美須町駅1番出口すぐ横にオープン
・2024年1月、惜しまれながら閉店
ライブの内容
閉店時のライブで語られていたのは以下。
顧客数
・コロナ前は延べ月500~560人、コロナ後は月400人
・コロナ後は赤字だった
・コロナの影響でお客さんが戻らなかった
立地について
・(恵美須町駅直結というのは)駅の隣で雨にもぬれず、お店で模型を買い回った後に寄れるという狙いがあった
・好立地な反面、固定費も高い
・移転も考えたが、赤字が続く中で費用が集められない。移転費用は概算で最低でも4-500万円かかる
・移転費用はクラファンで募れば…とユーザーからアドバイスされたが、(オープン時に一度頂いている身ということもあり)心情的になかなか言いづらかった
・クラファンによるリターンの用意も、また費用を集めれる自信もなかった(オープン時でも200万円弱)
売上について
・飲食とレイアウトの売上は半々。これは客の多い/少ないに関係なく同じ
・レイアウトは初期投資が大きい。その後駅を増やしたりもしたが、レイアウトの飽きが「2年」で来る
・来店頻度の減少、またグループ来客も減った
料理・レイアウトについて
・料理は増やしたこともあったが、仕込みに手間取ってレイアウトに構えなくなった
・具体的には「客が走らせている電車とレイアウトを撮ってTwitterにアップする」ということが出来なくなった
・飲食とレイアウトは、1人では両立できない
・料理はあれこれ考えたが、ポテト等の定番メニューが多く廃棄も多かった
・コロナでみんな飲まなくなった、1位はコーラ(450円)、2位はアイスコーヒー(420円)、3位は四つ橋線(オリジナルカクテル)、その他の酒は5位以下
・ポテト+1ドリンクの組み合わせがよく出ていた
・ドリンクバー形式も考えたが、機器を置く場所がないのと酒のオーダー減を危惧した
今後と業界について
・本当は借金を増やしてでも営業継続したかった。ただ、追加借金をして10年後に返すとして、10年後の鉄道模型業界は期待できない。
・鉄道模型ビジネスは1つの模型をずっと楽しむのではなく、都度新しい模型を買うのが主流。
・模型自体も値上がりして可処分所得が減り、ユーザーもレイアウト等それ以外にまでお金が回らない。
・鉄道模型を買う半数は関東圏。残り半分は非関東圏
・2019年に鉄コレの「北急8000形」とKATOの「トワイライトExp瑞風」という関西人狙い撃ちなラインナップが出た。その時はお客さんが激減した。
・鉄道模型の世代の新陳代謝が、コロナの影響かで変わらなくなったのを感じる
・10年後は40歳。40歳になって再就職できるか?を考えると非現実だと思った
・大阪出店の場所選定は意外と難しい。何故なら大阪都市圏で全員が集まりやすい場所がない。大阪は梅田・天王寺があるが、梅田は南海線民が来づらく、天王寺は神戸方の人が来づらい。難波に出すぐらいなら恵美須町の方がいい
・恵美須町に出店したのはJoshinなどの店も多い「でんでんタウン」が近くにあり、模型業界で唯一共通認知されている街だから。
素晴らしいチャレンジ精神でした。ひらおかさん、5年間本当にお疲れ様でした。
関連リンク

参考文献
YouTube「103放送部閉店について」
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