セブイレが抜け出せなかった「コンビニしぐさ」…西武・そごうの売却に思うこと

セブン&アイグループが、百貨店「西武・そごう」をアメリカの投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」へ売却すると発表しました。

話自体は2月頃からスクープされていましたが、昨日正式な発表となりました。

 

当時は「コンビニが百貨店を買収する下克上」と大きく話題になりましたが、結局はうまく再生できずに終わってしまいました。

買収後には1兆円の売上・257億円の黒字であった百貨店事業を、15年の歳月で半分の4200億円、62億円の赤字にまで落ち込ませてしまった原因はいったいどこにあったのでしょうか。

 

抜け出せなかった「コンビニしぐさ」

何より「セブンプレミアム」を百貨店に置いたのは大失敗だったのではないかと考えます。

2009年時点で百貨店事業の営業利益はグループ全体で4.4%と低迷。これを改善すべく、グループのシナジー戦略として「セブンプレミアム」を百貨店へも導入して横展開を図りました。

セブンプレミアムは製品としては決して悪いものではなく、「結構な人が買っていた」という証言も見られ、売上もグループ全体の20%にあたる1.3兆円を稼ぎ出している優良商品です。

【コラム】

この記事を書くにあたって実際にセブンプレミアム製品を購入してきましたが、物自体はとても高品質でした。

例えば「金のハンバーグ」は、濃過ぎないソースとたまねぎのシャキシャキ感、ハンバーグの分厚くてやわらかい肉っぽさも感じられるなど、実に良い製品です。

金のマルゲリータ」も、野菜のようなフレッシュさや、トマト感が感じられ(既製品はケチャップという感じ)、生地も薄くさくっと食べれる、カフェで出されるピザのような本格派。

既製品のピザは生地が薄くてギトギト感があり重いですが、そういったこともなく食べやすく改良されるなど、1.3兆円を稼ぎ出すのも納得の品質です。

しかしながら、セブンイレブンやイトーヨーカドーでも購入できる製品で、百貨店の趣旨にまるであっていない。

コンビニでも買えるPB製品が売られている=格が低い」というイメージを作りだす悪循環。

 

このように、PB「セブンプレミアム」は売上こそ取れる商品でしたが、その代償としてブランド価値を大きく損なわせる結果となりました

「セブンイレブンによる西武・そごう買収の負のイメージ代表例」として長らくTwitterでも語り継がれていることからも、ブランドイメージを毀損する結果になったのがよくわかります。

先程「1.3兆円を稼ぎ出している」と書きましたが、その80%がセブンイレブンでの販売でした。

 

一方、2013年からは元日営業を強行したり、からくり時計の運営をやめたりと、「百貨店としての価値」を拡大せず、ひたすらコンビニしぐさから来る経営合理化を進めました。

 

百貨店に求めるものとは、「ちょっと高いけど、他では経験出来ないもの」「ここで買えば間違いのないもの」というハレの日の購入体験。

「安いけど品質はそこそこ」「どこでもある日常の製品」というPBのブランドがまだ脱却できていない状態で百貨店に導入したのは時期尚早だったと言えるでしょう。

セブンイレブンは、今やコンビニ業界で1位をキープする超一流のコンビニ。

それだけにその成功体験から抜け出せず、コンビニしぐさを横展開すれば成功できるという奢りがあったのではないでしょうか。

 

西武・そごうの年表

年度 売上(百万円) 利益(百万円) できごと
2021年度 425,153 ▲6248
2020年度 577,633 797 そごう神戸店・西武高槻店を阪急百へ売却(2019)
2019年度 592,100 3737
2018年度 657,886 5369
2017年度 852,174 3672 百貨店事業を買収した鈴木敏文CEOが退任
2016年度 884,716 3832
2015年度 875,027 7059
2014年度 871,132 6590
2013年度 884,028 8029 元日営業スタート
そごう八王子店を閉店(2012)
2012年度 900,222 9948
2011年度 915,105 5622
2010年度 922,847 1366 そごう心斎橋本店を大丸へ売却(2009)
セブンプレミアムを西武で取扱開始
2009年度 993,877 18335
2008年度 1,025,354 25764 横浜そごうのからくり時計終了
2007年度 988,357 26772

 

関連リンク

日本一物々しいセブイレ「仮セブン」に行ってきました

 

参考文献

日本経済新聞「三越伊勢丹が定休日、そごう・西武は元日営業

ロイター「セブン&アイが百貨店改革に着手、地方店活性化に不透明感

食品新聞「「セブンプレミアム」が競争力の源泉 セブン&アイHD 井阪隆一社長

プロフィール

執筆者:207

鉄道Webサイト運営17年目。
現在Osaka-Subway.comを含む4サイトと付随する動画媒体を運営中。

鉄道サイト運営のノウハウから、サイトとは全く関連性がない
ようなことまであれこれ書いていきます。

Twitterはこちら

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です